FRP(Functional Reactive Programming)を試した話+JS周りのあれこれ
ここのところ、久々に技術調査をがっつりしており、
そのあたりをメモするのがメインの記事になりますので、
いつも以上にまとまりがないと思います(´-ω-)
私はサーバサイドのエンジニアで、Rubyを主に扱っており、
仕事でもほぼRailsを書いていたのですが、
ちょっとした事情によりNode.jsも書くことになりまして*1
今までJavaScriptを主体にしたコードを書いたことがなく、
プロトタイプ*2をいじくり回しているのですが、
やはり「本物」っぽいコードを書いた方がいろいろつかめるわけです
ということで、手持ちの「チェンクロパーティーシミュレーター」(以下ccpts)で、
いろいろ試しております...φ(・ω・`)
ということで、以下考えた思考過程のメモなどを
FRP(Functional Reactive Programming)
Node.js・・・というかJavaScriptを本格的に書きはじめて、
最初に引っかかったのはやはりcallbackの多さです
あらゆる処理を非同期で処理するのが前提ですからね(´-ω-) *3
もちろん、有名どころではPromise*4を使うのが定番で、
最初はそれで書いていたのですが、「もっといい手」があるのでは・・・と気になりまして
そんな時、ちょうど流れてきたのが「Rx」の話でございます*5
Rx自体は別にJavaScriptに限った話ではなく、不完全ながらRubyにもあるわけですが、
フロントエンドで使われることが多いので、本家のC#とJavaScriptがやはり目立ちます
でまあ、先ほどの記事を読むとなんとなくわかる・・・というか、
わかった気になると思いますが、要するにRxのようなFRPとは・・・
「非同期処理と同期処理を一つのストリームで扱えるもの」
・・・であり、Rubyの文脈で雑に書くならば・・・
「イベントも扱えるようになったEnumerator」
・・・と考えればだいたいあってます
そもそも、プログラムを書く側からすると、非同期処理だろうと同期処理だろうと、
「渡した値に対応する値が返ってくること」にしか「興味がない」わけです
(まさに「関数」です)
理想的には・・・
「イベントが発生」->「必要な値に生成」->「APIに投げる(非同期)」
->「結果を得る」->「画面を描く」
・・・という流れができればいいわけです(`・ω・´)
とはいえ、わかった気になっても、実際に書こうとすると、
正直全く書けませんで・・・
そこで、まずは「callback」と「Promise」を排除することを目的に、
ccptsを書き直し始めました
当初、RxJSで書いてみたのですが、リリースしようとしたところで、
妙に動作が遅くなる問題が発生し、JavaScriptに特化した「Bacon.js」に切り替えました
Rx(JS)の方が「本質的」ですが、Bacon.jsの方が「実用的」なので、
比較的楽に書けました
例えばこんな感じで(´・ω・)っ
# Searcher @search: (params, url) -> params ?= {} params.ver = ver result = Bacon.fromPromise($.getJSON(url, params)) # AjaxのPromiseをStreamに変換 result.onError (err) -> $("#error-area").show() result @searchArcanas: (query) -> if cached # キャッシュがあったら as = ... # キャッシュから読み込む処理 return Bacon.once(as) # 値を直に返す result = @search(query.params(), searchUrl) result.flatMap (data) -> as = ... # APIから取得して返す Bacon.once(as) # Viewer Searcher.searchArcanas(query) .onValue (as) -> pager = createPager(as) replaceTargetArea() # 結果のrender処理
https://github.com/parrot-studio/cc-pt-viewer/commit/28793357cac2f08396240fb2104fa2dac615fc45
キャッシュを返す時は同期的な処理ですが、
APIを経由する時は非同期処理です
それを一つのオブジェクトで包んで返すことで、
受け取る先ではどのような経緯でデータがやってきたのか、
意識しなくても書けるわけです(`・ω・´)
これでだいぶ慣れてきたので、イベントからrenderまでを本格的にStreamでつないでみることに
# 検索ボタンを押したとき、queryを構築するStream queryFromSearch = $(".search") .asEventStream('click') .doAction('.preventDefault') .doAction -> $("#search-modal").modal('hide') .map -> Query.build() # 各queryのStreamを合流させる queryStream = queryFromSearch # 検索ボタンQuery .merge queryfromQueryLog # 検索ログからきたQuery .merge queryFromInit # 初期状態 # queryでAPIを叩いて結果を得る querySearchStream = queryStream .map (q) -> (if q.isEmpty() then recentQuery else q) .flatMap (query) -> searchTargets(query) # 他の方法で得たリストのStreamを合流 searchStream = querySearchStream .merge favSearchStream .merge arcanaNameSearchStream # 検索結果からページ送りオブジェクト生成 searchResult = searchStream .flatMap (as) -> createPager(as, pagerSize) # このプロパティを各Viewでsubscribeして描画 @targetArcanas = searchResult # 検索結果 .merge prevPageStream # 前のページをクリック .merge nextPageStream # 次のページをクリック .merge jumpPageStream # ページ番号をクリック .map -> pager.get() # pagerから描画する部分だけ渡す
まあ具体的なコードは正直分からなくてOKなのですが、
重要なのは「Streamの切り貼りだけで処理が書ける」というところです
ところどころ非同期処理があったとしても、
全て「値を渡して値を得る」という形をしていることが大事なのです(`・ω・´)
これを構築したおかげで、インクリメンタルサーチも簡単に追加できました
arcanaNameStream = $arcanaName # 名前入力フォーム .asEventStream('keyup change') # イベント .delay(500) # モバイルで日本語変換する場合に対応するため、微妙に読み込みを遅らせる .map -> $arcanaName.val() # フォームの値を取得 .debounce(300) # 0.3s置きにに値を監視 .skipDuplicates() # 「前と同じ値」ならイベントを却下する nameSearchStream = arcanaNameStream .filter (name) -> name.length > 1 # 2文字以上入力してなければ却下 .flatMap (name) -> searchName(name) # 検索APIを叩く
https://github.com/parrot-studio/cc-pt-viewer/commit/3be1bbf0aaa78fb9072ae1934bbe66f5a4628f64
普通に考えるとそれぞれとても面倒なはずですが、
このような関数の切り貼りであっさり実装できます∠( ゚д゚)/
しかしこのFRP、実際の業務に持ち込めるかというと、
正直微妙なんですよね・・・
今は検証レベルで私が好き勝手やっているので自由に書けますが、
他の人がこのコードをいじることになったら、果たしていじれるのかと
もちろん、FRPの概念が一般化すれば可能です
しかし、RubyのEnumeratorも必ずしも浸透してない状況*6で、
FRPへのジャンプはあまりにも大きすぎるのではないかと(´-ω-)
回転の早いJavaScript界隈ではありますが、
FRPそのものは「設計思想」であり「概念」なので、
そこは安心なのですが・・・
ES6かCoffeeScriptか、それが問題だ
さて、このようにFRPで記述するにあたり、
CoffeeScriptの書きやすさが非常に際立っております
むしろ、CoffeeScriptでなければテンションが上がらないというか( ゚д゚)o彡゚
しかし、いろいろ調べてみると、CoffeeScriptよりもES6に流れが移りつつあります
現時点でES6がまともに動くブラウザはありませんが、
Babelのような「ES6のコードをES5に変換する仕組み」も整備され、
さらにサーバサイドで考えればブラウザの状況は完全に無視できます
もちろん、CoffeeScriptには多数の利点があり、
「後置ifが書ける」とか「括弧がいらないのでシンプル」とかありますが、
一方でES6は「純正のJSである」という利点があります
さすがにccptsをES6に書き換えるのは手間がかかるなんてものではないので、
仕事で書いたプロトタイプを一部ES6に書き換えたりしていますが、
やっぱりCoffeeScriptに慣れているとしっくりこないんですよね(´-ω-)
でも、CoffeeScriptも知らない人にとってみれば、
ES6もCoffeeScriptも習得コストに大差はなく、
むしろ純正のJSを覚えた方がいろいろ便利なのではないかと・・・
ということで悩んでいたのですが、
とりあえず「関数型っぽいコードが書ければ緩和できるのでは?」と、
こちらのライブラリを試してみることに
こちらはあくまでライブラリであり、
ES6だろうとCoffeeScriptだろうと使えますし、
「やりたいこと」が詰まっていてとても便利です(`・ω・´) b
ccptsでもできるだけlodashを使うようにして、
いざES6に書き換えるとしても、コストを下げられるようにしました
実際に書き換える場合はこちらなどを参考に
Moving to ES6 from CoffeeScript · GitHub
ここからどっちに進むか?
あくまで当初の目的は「サーバサイドJSに関する採用アーキテクチャの検討」であって、
View側のJSは目的ではないので、ここから先は私自身の興味になりますが・・・
ここまでViewのコードを書き換えれば、やっぱり次に気になるのは話題のreactですよね
ただ、reactを適用しようとすると、Viewをほぼ一から書き直すはめになり、
過去2回ほど挑戦しようとしたものの、途中で挫折しています(´-ω-)
https://gist.github.com/parrot-studio/b937179bff3d61f69df5
ただ、reactとセットで出てきたfluxの概念*7については、
reactと無関係に適用できる・・・らしいです
せっかくStreamで構造を整理し直したので、そこにfluxの概念を投入しておけば、
残りのreact化もスムーズに進むのではないかと(`・ω・´)
そこで、話題になっているらしい、こちらを適用しようと考えました
react自体は「データが更新されたらviewを自動で書き変える仕組み」なのですが、
実際に書いてみるとデータ(state)の管理が面倒でして・・・
その点、reduxは「データを一箇所で管理する」という仕組みになってまして、
これなら後々react化もたやすいのではと考えたのです(`・ω・´)
しかし、ここで問題が
ライブラリ管理で使っているのはbower(実際はbower-rails)という仕組みなのですが、
reduxはbowerに対応していませんΣ(゚Д゚)ガーン
Node.js界隈ではnpmでライブラリをインストールするのが一般化しており、
フロントエンド側もその仕組みに移行しつつあるのです
私がbowerで管理し始めたのが今年の頭なので、
まだ1年経たないうちに再検討させられるあたりが、
JS界隈の回転の速さを感じる部分なのですが、それは置いておいて・・・
Railsと新しい仕組みがまだ試行錯誤段階で、
Railsのsprocketsがよくできすぎているために、
皆が暗黙的に使いすぎていて、移行が文字通り「面倒」なのが問題です(´-ω-)
私もこのあたりは調べ始めたばかりで、有効な回答を持ってないのですが、
そもそもjQuery周りのライブラリは逆にbowerにしかなかったりして、
検討を始めるといろいろ難しいです
(DOMレベルでのjQueryは排除できても、ccptsは「jQuery UI」にがっつり依存しており、
その代替になる仕組みがreactにはまだなく、
そもそもreactのライブラリはモバイルに問題があるケースが多いという・・・)
react-railsの仕組みを使ってreactの初期状態をサーバサイドでレンダリングする*8とか、
やりたいことはあるのですが、どうにも私の知識やノウハウが追いつきません(´・ω・`)
とりあえず、仕事で「納得できるJSのコード」を追求しつつ、
見つけた概念をccptsで試す・・・というやり方が続きそうです
・・・以上、完全に私自身のメモ書きでしたΣ(・ω・ノ)ノ
*1: 最初からNode.jsを選んだわけではなく、その選択自体もだいぶ手間取ったのですが、それはまた機会があれば・・・
*2: 最小限の要件を満たしつつ、運用とかもふまえた一式
*3: わずかでもブロックする処理を入れてしまう時点で、Node.jsを使う意味がなくなります(´・ω・`)
*4: jQueryのAjax処理も今はPromiseを返しますね
*5: Rxが出始めた初期の頃にいろいろ見た記憶がかすかにあるのですが、当時は「何に使うのか?」がいまいちわからず(´-ω-)
*6: 書けないって人はだいぶ減っていると思いますが、「関数型的なデータの流れで捉える」というのはもう一つ上の概念です
*7: https://github.com/facebook/flux/tree/master/examples/flux-todomvc/