ぱろっと・すたじお

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とても大雑把な「放射線」の説明

INPUTしたものをOUTPUTすることで、
自身の理解が深まるというならば、
この件に関しても試しにOUTPUTしてもいいんじゃないか・・・とか


大学では理学部で量子力学等をやってましたので、
原子のエネルギー論的な部分は多少わかります


一方、原子物理学は物理学科の共通カリキュラムとして、
最低限触った程度なので、過去に習ったことを思い出しつつ、
調べ直したものを自分の中で再編しています


どちらにせよ、私はプロの研究者ではないので、
ネットで調べれば確認できる範囲でしか書いてませんし、
あえて文体や表現を崩しているので、必ずしも厳密な表現ではありません


それでも、「放射線」という「よくわからないもの」に対して、
何となくイメージする助けになれば(`・ω・´)ノ

エネルギー保存則と放射線


まず、料理で使う「すり鉢」を想像してください
底が平らで、周囲が傾斜になっているあれです


このすり鉢の「坂」の途中に、原子さんを置くとします
(玉のようなものを想像してください)


すると、原子さんには「下に転がり落ちようとする力」が働き、
とても不安定な状態です


しばらくの間、原子さんは壁にしがみついていますが、
途中であきらめて坂を転がり落ちはじめますΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)


「底」までいけば安定なので、底で止まりたいのですが、
転がり落ちる勢い=エネルギーが邪魔になります


そこで、原子さんは転がり落ちるエネルギーを
「もの」に乗せてすり鉢の外に放り投げます(ノ゚Д゚)ノ彡┻━┻


放り投げるものは「自分の一部」であったり、
エネルギーの塊だったりしますが、
ある程度の勢いを持って外に投げ出されます


こうして安定した底で止まった原子さんは、
外からエネルギーが入ってこない限り、
すり鉢の底で惰眠をむさぼります(´-ω-)zzz...


こうして「原子が安定するために放り投げたもの」
(大雑把に言えば)「放射線」と呼ばれるものです


目に見える世界でも「運動量保存の法則」等がありますが、
原子の世界でも同じように、エネルギーが保存されている、
ということになります


重要なのは、「転がり落ちない限り放射線は出ないこと」と、
「一度安定した原子は放射線を出さないこと」です
これを覚えておいてください

同位体って何?


中高の理科でやったかもしれませんが、
原子は「陽子」中性子「電子」でできています


陽子と中性子が固まって原子核を構成し、
その周囲を電子が飛び回る・・・なんて図をよく見るはずです


陽子は+の電気を、電子はーの電気を持っていて、
陽子と電子の数は同じで、電気的に釣り合っています
(この釣り合いが崩れた状態が「イオン」ですね)


ところで、皆さんは周期表を覚えてますか?
化学等で出てくる、原子が順番に並んだあれです
(すいへーりーべー・・・で20番目までは覚えたはず)


あの番号は原子が持つ陽子の数で、
例えば6番目の炭素(C)は6個の陽子を持っています


一般的な炭素の原子核は、これに中性子6個を加えてできているので、
6+6=12となり、元素記号であるCに12を付記して表現します
この記事ではこれをC12と表現しましょう


さて、陽子の数で原子の種類が決まる一方、
中性子の数はいろいろな種類があります


例えば、自然界には炭素C12に中性子を一つ加えたC13や、
もう一つ加えたC14なんてものが存在します
人工的に作られたものを含めると、10種類以上ありますΣ(・ω・ノ)ノ


このように、陽子の数が同じで中性子の数が違う原子達を、
同位体といいます
C12・C13・C14はどれも「炭素の同位体」です

放射性物質って何?


ところで、炭素C12は自然界で99%以上を占めます
つまり、それだけ炭素にとってC12という形が、
釣り合いがとれていて楽ってことです


しかし、C13はともかく、C14は多少不安定で、
最初の例でいう「坂の途中で落ち着かない状態」にあります
ということは、いつか転がり落ちる可能性があるわけです(((((( ;゚Д゚)))))
(この転がり落ちることを「原子が崩壊する」といいます)


C14の場合、崩壊すると窒素N14になります
窒素N14の陽子は7個、中性子が7個なので、
中性子が一つが陽子と電子に変わったことになります


このとき、「転がり落ちた分のエネルギー」を外に投げ出します
つまり原子が崩壊すると放射線を外に出します
(この場合は電子がすっ飛んでいきます)


このように、原子として安定した状態になく
転がり落ちて放射線を出す「能力」があるものを、
「放射性物質」あるいは「放射能」といいます
(厳密には違うものですが、とりあえず同じと思っていいです)


ちなみに、原子(同位体)によって、
どんな放射線をどんなエネルギーで放出するのかが決まっています


原子レベルで「質量保存の法則」、
わかりづらければ「等価交換の原則」でもいいですが、
形が変化しても、エネルギーの総量が保たれる、ということです
(例の漫画を読んだことはないですがΣ(・ω・ノ)ノ)

半減期の意味


ところで、エネルギーの話(すり鉢のあれ)の時、
「しばらくの間」という表現を使いましたが、
これは具体的にどれくらいなのでしょう?


答えは原子(の同位体)のよって違う・・・のではなく、
実はランダムですΣ(゚Д゚)ガーン


つまり、ある原子は作られてすぐ転がり落ちるけども、
別の原子は何年どころか何千年経っても、
ずっと不安定のまま居続ける可能性がある、ということです


原子レベルのミクロな世界では、
「確率」でしか表現できないことがあり、
原子がいつ崩壊するかも、確率でしかわかりません


ただ、「このくらいの時間経てば半分は崩壊している」という
統計的な意味での時間は求められます
これを半減期と言います


例えば「半減期が1日の原子」が100個あったら、
おそらく1日後には50個くらいになってる「はず」、ということです


2日経つとさらに半分の25個で、
7日も経つとせいぜい1個にまで減ります
(100*0.5^7=0.78)


半減期は原子(同位体)によって決まっており、
例えば話題のヨウ素I131半減期は8日ですが、
炭素C14の半減期は5730"年"もあります(; д ) ゚ ゚


この炭素14の性質を利用して、
年代を測定する手法もあります
wikipedia:放射性炭素年代測定

ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)


さて、最近ニュースで出てきたベクレル(Bq)」という単位は、
「1秒間に崩壊する原子の数」を表します
つまり、Bqは存在する原子の数と半減期のみで決まります


一方、崩壊しきった原子はもう変化しないため、
放射線を出す原子の数は時間とともに減っていくので、
Bqの値も時間と共に減っていくことになります
(外から新しい放射性物質がこない限り、ですが)


つまり、半減期1"秒"の原子と、半減期1"年"の原子が同数あった場合、
前者の方がBqで見ると瞬間的には莫大に見えますが、
1秒ごとに数が半減していくので、あっという間に値が下がっていきます


また、Bqは「崩壊する数」であって、「エネルギー」ではありません
1個あたりの原子が放出するエネルギーは原子(同位体)でそれぞれ違うので、
Bqの値が莫大だから、すぐに危険とは言い切れません


その「放射線のエネルギー」を表す単位のうち、
「放射線の種類ごとに人体に与える影響を補正したエネルギー単位」を、
シーベルト(Sv)」と呼びます


1Svは相当に大きな数字なので、
1Sv=1000mSv(ミリシーベルト)、1mSv=1000μSv(マイクロシーベルト
という単位がよく使われます


思い出して欲しいのは、放射線は原子が崩壊するときに出るもので、
また原子の崩壊は半減期という時間に依存する、ということです


そこで、「1時間あたりに出る放射線のエネルギー量」という意味で、
「毎時シーベルト(Sv/h)」という単位があります
マスコミが言っているシーベルトはたいていこれのことです


ですので、1mSv/hの場所に15分いれば0.25mSvになりますし、
2時間いれば2mSvになります


「1年間に2.4 mSvの自然放射線」という場合は、
1年分の放射線量を加算したものになりますので、
1時間あたりに直したい場合、365*24で割ればいいわけですね
(各自でやってみましょう(`・ω・´))


ちなみに、「自然に存在する放射性物質」には、
「地球ができたときに生成されたもの」や、
「宇宙からの放射線と原子が反応してできたもの」等があります




本当はこの調子で「放射線が体を傷つけることの意味」とか、
「ヨウ素131やセシウム137が何者なのか」とか、
「ウランの核分裂って何よ」って話も書こうと思ったのですが・・・


そういうのは、これだけのことがわかっていれば、
何となく自力で追えるんじゃないかと思いますし、
そもそも私は専門家ではないので、そこまで踏み込むのもどうかなと(´-ω-)


結局、自分で情報を追いかけ、自分で計算し、
自分で判断することが最善だと思うので、
これがそのための手助けになれば・・・


【関連】




最後に蛇足ながら、原発に関する私のスタンス


総合的に判断すれば、「今後」原発を作るって話は厳しいでしょう
ヨーロッパがチェルノブイリの経験で拒否反応を示すように、
日本も「原爆」というトラウマがあるわけで


それぞれの発電手段にメリットとデメリットがあるのは事実ですが、
理論的な問題というより感情的な問題で難しいんじゃないかと
もちろん、私自身も含めて


私が情報を集めているのは、
「今の状況を冷静に分析するため」で、
「今後原発を作ることに理由付けするため」ではありません


一方で、「新しい代替手段」を見つけるには、
「お金」と「時間」と、なにより「エネルギー」がいります
エネルギーというのは「電気」と言い換えてもいいでしょう


実際、私が大学にいたとき、レーザー装置がたくさんありましたが、
どれも莫大な電気を食います(´-ω-)


物理工学に限らず、他の理系分野でも、
研究とエネルギーの問題は切り離せません


(※ただし数学科を除くΣ(゚Д゚)ガーン
 いや、数学が無意味ってことではないですよ?
 むしろ全ての基礎です)


なので、今あるものを最大限かつ効率的に活用しつつ、
その辺の研究に予算はもちろん、人やエネルギーを投入することが、
今後の目標になっていくのかな・・・と


その意味で、「今すぐ全部原発を停止」ってのは厳しいですね(´-ω-)
緩やかに終わりに向かわせるのがいいと思いますが、
即座に止めると、最悪何もできなくなってしまうので


一方で、比較的すぐにできるのが「予算を増やすこと」ですね
技術力が高まれば、そこからお金を生み出す仕組みもできるわけで、
「2番じゃない、1番の技術」を求めて、教育と研究にお金を回してはいかがでしょう


学校で「新しいエネルギー研究はカコ(・∀・)イイ!!」とか、
「新しいエネルギー研究は(゚д゚)ウマー」と教えれば、
大学の研究者も増えるのでは


そう、研究者をリア充にすることが、日本にとって必要なんじゃないか・・・とか、
ちょっと暴走気味なので、蛇足おしまい